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相続税の連帯納付義務に係る改正

2011/11/18
こんにちは。


2011年6月に成立した税制改正の中で、「相続税の連帯納付義務」に係る改正がありました。

「相続税の連帯納付義務」というものは、一の被相続人から相続により財産を取得した全相続人のうち、一部の相続人に相続税の未納等があった場合、その他の各相続人がその相続により利益を得た額の限度内で、連帯責任として当該未納税額を負担しなければならないというものです。

つまり、相続が終わったのち、別の相続人がもし税金を収められない場合、自分がその人の納税分まで負担しなければならない可能性があるということです。

このような義務については、知らない方が多いと思います。

加えて、税金が未納の場合延滞税が発生し、かつ未納者が未納となった日から起算され、最初の2ヶ月が年率4.3%(2011年現在)、それ以降は年率14.6%の高い税率にて加算されるため、連帯納付義務者に通知が行く頃には、税額もかなりの金額になってしまうのです。


今回の改正では、このような延滞税を連帯納付義務者に負担させることはあまりにも酷であるということから、延滞税ではなく、利子税(年率2.1% 2011年現在)に変わることとなりました。
※連帯納付義務者自体の納付期限が過ぎて未納の場合については、今まで通り延滞税が加算されます。

しかしながら、結局税率が変わっただけで、連帯納付義務者の不利な状況は改善しているとはいえません。

また、もう一つ連帯納付義務に係る改正がありました。


それは、相続人に未納者がいた場合の連帯納付義務者への通知等を含む手続きが明確化されたというものです。

今まで、相続税の連帯納付義務について、その税額確定や通知に係る法的手続きが明文化されていない現状がありました。


そのため、連帯納付義務者が税務署から不意打ちのように連帯納付に係る税額等を突きつけられ、差押えを受けるケース等が問題となっていました。連帯納付義務に係る訴訟も多数おきています(ex.昭和53年(行ツ)第86号損害賠償等請求事件 他)。

にもかかわらず、判決は「連帯納付義務の確定は、各相続人等の固有の相続税の納税義務の確定という事実に照応して、法律上当然に生ずるものであるから、連帯納付義務につき格別の確定手続を要するものではない」として、納税者からの手続き不備の訴えが斥けられるケースが多かったのです。

今回の改正により、一定の手続きが法定化されたことで、不意打ちとなるケースが少なくなることが期待されます。しかしながら、連帯納付義務という制度自体、納税者にとって納得できない部分が多々あります。今後さらなる納税者有利の改正を望むばかりです。


 

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